「教えて社長!」

~シュウ企画の代表取締役社長 池田かほり氏にシュウ企画についてお伺いしました~

Q まず、株式会社シュウ企画の成り立ちを教えてください。

池田社長
弊社は、1989年(平成元年)6月に有限会社シュウ企画として産声をあげました。母体は1987 年、宇藤昭子前社長を中心とした女性7名で、グループ“SHU”を結成したことから始まります。当時、パソコン普及率は約10%。女性が持つ独自のネットワーク(ママ友など)を利用しながら、子育ての空いている時間を活用 しようという、当時としてはまだまだ珍しい、女性の活力を活かせる事業を展開し始めていました。

Q 池田社長がシュウ企画へ入ったきっかけを教えてください。
   
池田社長
私には4人の子供がいますが、一番下の次男が生後6カ月の頃に音声起こしの募集を見つけ、家でできる仕事なら私にもできるかもしれないと“無謀にも”応募したのがきっかけです。
   
Q お子さんが4人もいて、さらに仕事をしようと思っていたのですね。
 
池田社長
戦争のような子育てに明け暮れる毎日ではありましたが、そんな中でも、子育て以外で自分ができることを常に探していました。もちろん経済的にも必要でしたし、今から考えると、とにかく若かったからできたんだと思いますが、子育てしながらだってまだまだ自分は何かができる、と思っていました。4人の子供を連れてママさんバレーもしていましたし、じっとしていられないたちなのかもしれません(笑)
   
Q 子育て、ママさんバレー、プラス仕事ですか!確かに“無謀“と言われた意味が分かります。

池田社長
いえいえ、“無謀”は私だけではないですよ。当時、そんな環境の私を採用してくれた前社長の“無謀”も忘れないでください(笑)。でも、当時の私は臆することもなく「この仕事がやりたいんです。自分に合っていると思うんです!」と豪語していた記憶があります。その気迫に前社長も負けたのかもしれません。

Q なるほど、今お話している池田社長の目で何となく想像がつきます!さて、実際にお仕事はどんなことをされていたのですか?

池田社長
最初は音声起こし(テープ起こし)の仕事でした。確か、女性の方のインタビューもので、30分程度を起こしたのですが、当時はパソコンなんてありませんから全部鉛筆で手書きです。カセットテープをガチャンガチャンと何度も巻き戻しながら聞き取って書くわけですから、今の何倍も作業が大変でした。

今はキーボード一つで、再生、巻き戻し、ピンポイントで音声を操作できるフリーのソフトがありますし、打ち間違いの修正なんてあっという間です。消しゴムで消していたら原稿用紙が破れちゃって、全部書き直し!なんてことないですものね。

Q 大変な作業だったんですね!お子様が4人もいて、自宅でいつお仕事をされていたのですか?
 
池田社長
上2人が学校へ行って、下2人がお昼寝しているときと、やはり結局は夜中、みんなが寝静まってからという結果でしたね。もっと昼間にできると思っていたのですが、テープから聞こえる話し声を聞き取ることは想像以上に大変でした。外の雑音、話し声、テレビの音、ぜーんぶ邪魔になるんです。何度も聞き直して作業することはとても作業効率が悪くて、結局、夜中、静かなときにやるのがベストだったんです。睡眠時間3~4時間で仕事をこなしていました。とにかく若かったんです(笑)。
 
Q シュウ企画では、ほかにどんなお仕事の御経験があるのですか?
   
池田社長
しばらくは在宅で音声起こしをしていましたが、下の子供たちも保育園に行けるようになったのを機に、グループインタビューの書記も手がけるようになりました。これが面白かったんです。
 新しい商品の開発やリニューアル、CM制作の一端を担う仕事ができるんです。自分が担当した商品がスーパーの棚に並んでいたり、CMが流れたりすると、「これ、お母さんが担当したんだよ」と子供たちに自慢していました。
   
Q それはうれしいですね。やりがいもありそうです。
   
池田社長
そうですね。音声起こしにしても、グループインタビューの仕事にしても、縁の下の力持ちで表には絶対に出てこない影の存在です。でも、その結果が書籍や商品という形で世の中に登場したときに、ああ、頑張ってやってよかったと思えるんです。
 今は、クライアントの出版会社様からは、担当した書籍の贈呈があり、その音声起こしを担当した作業者さんにも順番にお送りしていて、とても喜んでもらっています。
 
Q  自分が担当した音声が本になっているんですね!それはすごい!
   
池田社長
音声起こし、グループインタビューの書記のほかに、新築マンションや新築戸建てのパンフレット作成のためのデータ作成等もしていますが、こちらも念入りに調べ上げた調査データが、きれいなパンフレッ トやマンションのHPになったとき、「よし!」と思います。

Q 楽しそうなお仕事ばかりですが、実際は意外に大変だったりして・・・

池田社長
 そうですね。正直大変です。音声起こしに関して言うと、10分の音声を起こすのにベテランでも1 時間はかかるんです。文字の使い方にも細かいルールがあって、それを習得するのに半年は最低かかります。

 医療関係の音声などは、知らない薬品名や病名、治療方法などがたくさん出てきますし、行政関連の音声では、地方の方のお年寄りの方言の混じった話を聞き取るときもあります。
 聞き取れない単語は、前後の会話から推測してできる限りわかるまでネットで調べあげ、丁寧な原稿づくりをしなければなりません。これはやってみないと分からないと思いますが、人間の耳は知らない単語は聞き取れないんです。
   
Q 単純に聞こえたものを文字にすればいいと思っていましたが、意外に大変そうですね。
 
池田社長
 起こすことも大変ですが、丁寧に仕事をすることもとても大事なことの一つです。句読点の打ち方や段落のつくり方、ルールで決められない部分も多いこともあり、原稿にその人の人柄が出ます。
 不明確な単語をきちんと調べている人、見直しをちゃんとしているかどうかまで、原稿を見ると実は分かってしまうんです。 同じ日本語を聞いているのに、文字にすると人によってこんなに違うものになるんだとびっくりすることが 多々あります。
   
Q なるほど。奥の深い仕事でもあるわけですね。
 
池田社長
 おかげさまでスタッフにも恵まれ、いい加減な仕事をするスタッフは一人もいませんが、研修中に十人十色の癖を見分け、早期に修正できるよう丁寧に指導をしています。そのあとのスキルアップは、本人の努力と経験次第です。それは結果として昇給にもつながります。

Q このHPを御覧の方に何かメッセージはありますか。

池田社長
 時代と共に働き方そのものが変化し、パソコン1つで、いつでもどこでも仕事ができるような時代になりました。弊社はもう何年も前からリモートワークを展開しています。AIなどのテクノロジーがどんどん進化することで、現存の仕事の半分がコンピュータ―化されると言われています。弊社の仕事もいつかはな くなるのかもしれません。
 でも現在において、環境雑音の中で録音された、通常スピードの会話を、人の耳以上 に正確に聞き取れるものはないんです。そして、読点「、」の位置がちょっと違っただけで文脈が変わってしまうことを、まだ今のAIでは判断できていません。それが弊社が必要とされている理由です。

 人がする仕事には付加価値があります。コンピューターにはできない「丁寧と確かなスキル」が仕事に反映して、必ず自分に返ってくるのだと信じています。メインロードではない、どちらかというとサブロード、バックヤードの仕事ですが、必要とされる限り続けていきたいと思っています。たくさんのスタッフの方々に 支えられてここまで来れましたが、これからも皆さんのお力を借りながら一緒に頑張っていきたいと思っていますので、よろしく お願いいたします。

 また、これから一緒に仕事をしてみようと思われた方も、力まず、自然体で弊社にいらしてください。そして、そんな弊社の力を使ってみたいと思われた企業の皆様、一度試していただければ、そのよさを実感して いただけると思います。 お待ちしています!
 
Q 池田社長のお人柄のよく分かるインタビューとなりました。楽しい時間をありがとうございました。